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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)1931号 判決 1952年3月07日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意(後記)について。

被告人は原判決の憲法三七条違反を主張するけれども、その実質は、原判決の肯認した名誉毀損罪の成立を争うに過ぎないのみならず、原判決の確定するところによれば、被告人は被告人と白米売買の契約をしたものは小牧二一でないこと、すなわち被告人が同人に対して詐欺の告訴をしたのは人違いであったことに気付いていながら判示公判廷において、真意に反して欺罔の主張をし公然虚偽の事実を摘示して死者である小牧二一の名誉を毀損したというのであるから、もとより、被告人としての防御権の範囲を逸脱したもの、被告人の防御権の濫用とみとめるべきであって、原判決が名誉毀損罪の成立をみとめたのは正当である。その余の論旨もすべて刑訴四〇五条の適法な上告理由にあたらない。また記録を精査しても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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